誠の紅桜に止まる蝶

私は怪我をした男に近寄る。

「腕、見せて。」

「え?」

男はわけがわからないようで困惑気味にこちらを見る。

そして私はさっと薄口がにじんでいた傷口を癒しの力で治す。

「え?」

土方さんが驚いたようにこちらをみる。

「私、他人の傷を癒すことができるんです。」

私はほほ笑みながらいう。

「っ。わかった。だがこいつらには説教をする。それくらいはいいな?」

私の態度に負けて土方さんがつぶやく。

「はいっ!」

「んじゃ俺こいつらを・・・ってこの大量の血はなんだ?」

原田さんが佐野助の近くにあった血だまりを見つける。

しまった!

「佐野助は怪我してないし、蝶が治した奴は軽く血がにじむ程度で、あと一人は怪我はしてない。となると・・・」

原田さんが私に目線をよこす。

「え、いや!私も無傷ですよ?」

私はなんとかその場を取り繕うとする。