誠の紅桜に止まる蝶

「蝶ちゃん?」

沖田さんが困惑気味にこちらを見る。

別にこの人たちをかばったのは同情とかではない。

ただ、誇りをもっているという隊士たちを失いたくなかった。

私に対する思いは最悪でも、近藤さんや土方さんたちに対する思いは確かなもの。

だから私はとっさにかばった。

自分が甘いのは重々承知だ。

「私はなにもされていません。だから彼らをどうにかする必要はないです。」

「そんなわけにはいかねえ。こいつらはお前に刀まで向けたんだぞ?一歩間違えばお前だって怪我をしてたんだぞ?」

土方さんが怒り気味に喋る。

私の怪我のこと、まだばれていない。

私はそっと怪我をした手を袖に隠す。

血が流れないようにしっかりと握りしめて。

「確かに怪我はしそうでしたが、実際はしてません。それに怪我をしたのは彼らです。だから、お願いします。」

私は頭を下げる。

「蝶ちゃん・・・」

原田さんが困ったようにこちらをみる。