「蝶?」

俺はそっと腕の中にいる蝶を覗く。

泣き疲れたのか蝶は小さな寝息を立てて眠っていた。

「寂しい、か。」

よく考えてみれば当たり前だ。

いきなり時代を超えてきてしまったのだ、寂しくないわけがないだろう。

それにきっと不安だったんだろう。

俺はそっと蝶の頭に口づけをする。

「俺が傍にいる。」

もう一度そうつぶやく。

こんな感情今までどの女にも抱いたことはなかった。

ただ、この腕の中にいる少女が愛おしい。

そんなことを考えながら月を見上げた。