やっぱりあたしにはただ、いつもより不機嫌そうな顔にしか見えないや。
あれならいつもの、ぼーっとした顔の清春の方が、あたしはずっと好きだ。
い、いや、好きっていうのは、そういうんじゃなくて。
なんていうか、いつもの方が、清春らしいって意味だけどっ。
あれ……なにあたし、自分にわけわかんない言いわけしてるんだろ。
「小鳥遊さん小鳥遊さん」
考えこんでいたら、清春の前の席にいた深田くんがニコニコ笑顔でやってきた。
今日も朝から、爽やかな空気をありがとうございます。
「おはよう、深田くん」
「はよー。あのさ、なんか清春が機嫌悪いんだけど」
こそっと、内緒話でもするように、深田くんはあたしに言った。
そっか、深田くんは気づいたんだ。
清春って感情の起伏があんまり表に出ないから、気づく人少ないんだけどな。
ちゃんと、清春のことよく見てくれる人なんだ。
それだけで、結構高感度あがっちゃうよ。
さすがにモテるイイ男は違うねえ。
ぼへーっとした、イライラ清春より、やっぱり断然かっこいいよ。


