清春はしばらくあたしを真っすぐ見つめて黙ったあと、
小さくため息をついた。
「もういいよ。……今日はそっち行かないから」
「え?」
どうして?
これまで毎日のようにあたしの部屋に入り浸っていたのに。
あたしが清春の部屋に行くこともあったけど。
とにかく、学校が終わってから夕飯の時間まで、いつも一緒に過ごしてた。
漫画読んだり、宿題やったり、ゲームしたり、昼寝したり。
小さい時からずっと、そうやってきたのに。
「また明日」
そっけなく言って、清春は自分の家に入っていった。
その背中が、なんだか傷ついてるように見えて、戸惑う。
「変なのは、清春も一緒じゃん……」
ふてくされてるみたいな呟きが、思わずもれた。
ああ、鈍いな。
心も体も、動きが鈍い。
あたしはそれから随分長い間、1人でそこに立ち尽くしていた。
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