もうそのあとは授業どころじゃなくて。
頭が真っ白なまま、気づけば家の前に立っていた。
「大丈夫? 凛」
心配そうな清春の声に、あたしはぼんやりしながら顔を上げた。
あれ。
なんで家の前にいるんだろ。
学校にいたのに。
授業どうしたんだっけ。
HRも出た覚えがないや。
「凛ってば」
「え? あ……なに?」
「なに、じゃないよ。どうしたの今日。おかしいよ凛」
清春の顔がこわい。
怒ってるみたい。
まるで、あたしの様子がおかしい理由を、知ってるような態度。
見透かされるのが怖くて、あたしは目をふせた。
「別に、おかしくないよ。病み上がりだから、疲れただけで……」
ごにょごにょと、言いわけする。
なんであたし、清春に言いわけなんてしてるんだろ。


