「この俺がマンツーマンで教えてやってるっつーのに、なんでおまえはそんなに物覚えが悪いんだ?」
「ふんだ。るいちの教え方が悪いんだよ」
「それはない。サッカー部の奴らにもたまに教えるけど、みんなすぐ覚える。おまえだけだぞ、俺をこんなに手こずらせる落ちこぼれは」
落ちこぼれだあ?
ちょーっと勉強できるからって、言いたい放題言いやがって~。
「るいちの教え方には愛が足りないんだよ。そんなんじゃ教師には絶対向いてないね!」
「ほー? まるで自分が教師に向いてるみたいな口ぶりだな」
「当たりまえじゃん! あたしが将来先生になったら、生徒に大人気でそりゃあ毎日大変だよ」
「まさかリン……。おまえ教師になるのが夢だとか言わねえだろうな?」
「夢だけど? 悪い?」
「悪くはない。夢を見るのは自由だ。でも未来の生徒に迷惑だからやめておけ」
ひどくないっ!?
まだ迷惑かけてないのに!
夢を見ることすら迷惑って、ひどすぎるでしょ。


