先生のあったかい右手が、壊れ物にでも触るみたいに、あたしの頬に触れた。
切なげに揺れる切れ長の瞳。
夜景がギュッとつめこまれたみたいに、キラキラ輝いてるのを見て、逃れられなくなる。
「聞くのは、これが最後だ」
優しい右手が、あたしの頬をそっと撫でる。
そこから気持ちが、流れこんでくるようだった。
「リン」
名前を。
その名前を呼ばれるのは、2度目。
そしてきっと、これが最後。
「リン、なんだろう?」
くしゃりと、目の前の整った顔が歪む。
涙が、こぼれ落ちた。
透明なそれは、ゆっくりと泣きぼくろを通って、頬から顎へと、伝っていく。


