それはすべて先生が、あたしと……
『柏木リン』と、やりたかったこと。
あたしが今日感じたことは、そのまま、あなたが感じていたことだったんだね。
肩にそっと、温もりがかけられた。
先生の、ほのかに煙草の香りがするジャケットだ。
「迷惑だったか?」
「……ううん。ありがと」
繋いだ先生の左手。
そこにはあたしの家を出た時から、あるはずの指輪がなかった。
いまだけ。
このひとときだけ。
その気持ちも、同じだったんだ。
でも、終わっちゃうね。
夢みたいな時間は、もう終わる。
「なあ」
「え……?」
「もう1度だけ、聞かせてくれ」


