「どこか、行きたいところはあるか?」
食事を終えて店を出ると、先生に聞かれた。
すぐに帰ると思っていたからびっくりして、思わずぶんぶんと首を振った。
「そうか。じゃあ、俺が行きたいところに付き合ってくれよ」
そう言った先生に、右手をそっと握られて。
驚きと恥ずかしさで、何も言えなくなった。
本当に、長く見てきた夢の中にいるような気分だった。
車が向かった先は、水族館。
夜の水族館なんて、初めて入った。
お客さんは少なくて、建物の中はどこもとても暗くて。
それが水槽の青い明かりを神秘的に見せていて、言葉をなくすくらい綺麗だった。
水族館でも、ずっと手を繋いでいた。
まるで、恋人同士みたいに。
いけないって思ったけど……。
どうしてか、その手を拒むことができなかったんだ。


