不思議そうに首を傾げる日下先生。
どこに?
と言いたげに眉を微かに寄せるから、あたしは答えた。
「皐月さんが、先生のこと待ってるよ」
日下先生の表情が、強ばった。
右足が1段上って、あたしに近づいてくる。
苦い煙草の香りが届いた。
「なんで……。皐月に、会ったのか?」
「さっき、学校の前でね。いまはすぐ近くのファミレスにいるよ。
先生を呼んでくるって約束したんだ。だから早く、行ってあげて」
早口でそう伝えたあたしを、日下先生はきつく睨みつけてきた。
覚悟してたけど、背中がぶるりと震える。
「余計なお世話だ。教師のプライベートに、首を突っこむな」
冷たい声で説教するみたいに言われて、カチンときた。
なにそれ。
自分だって、生徒のプライベートに口出してくるじゃん。
あたしと芽衣子のことだって、しつこく聞いてきたじゃん。
やってること同じなの、気づいてないの?