「ペアリングなんですよね?」


「琉一が……指輪を?」




皐月さんは、まだ涙の浮かぶ目を、大きく見開いた。


それに笑ってうなずく。




その事実だけで、充分だと思った。


避けていようと、気まずくなっていようと、同じ指輪をはめていることに、変わりはないんだ。




「だから、ちょっとだけ、待っててください。それと、ごちそうさまでした」





そして、ありがとう。



もうきっと会うことはないだろうから、最後にしっかり伝えたかったんだ。



あたしはお店を飛び出して、学校までの道を駆けだした。