いつもなら、気にもしなかったと思う。
でもいまは、どうしても、自分でもよくわからないけど、聞き流せなかった。
「芽衣子は、なにが言いたいの? 毎日のようにケンカしてるのは、あたしがちゃんとるいちのこと、見てないからってこと?」
「そうは言ってねーよ。ただあたしは、リンのことを思って……」
「余計なお世話だよ! 芽衣子になにがわかるの!? 放っておいて!」
「あっ! リン!」
高ぶる感情を吐き出すように叫んで、あたしは芽衣子を置いて駆けだした。
なんでこんなにむしゃくしゃするのかも、わからずにただ走った。
芽衣子に当たるつもりなんて、なかったのに。
あたしは全然、るいちのこと、見てなかったの?
幼稚園からずっと、毎日のように一緒にいた。
誰よりも近くにいるって、思ってた。
あたしがいちばん、るいちをわかってるって。
誰よりも、小野さんよりも、あたしが。


