「凛。これだけは言っておくよ」


「なに……?」


「俺にとって、凛は凛だけだ」




部屋の扉に手をかけて、清春がこっちを振り向く。


その目は少し、寂しそうに揺れていた。



なんで……?


胸がギュッと、締めつけられる。




「『柏木リン』なんて知らない。俺の幼なじみは、小鳥遊凛ただ1人だ。覚えておいて」


「きよ、はる……?」


「今日は帰る。おやすみ、凛」




誕生日、おめでとう。



扉が閉まる直前、そんな声が聞こえた。



ベッドの上に、リボンのついた箱が置かれていたことに気付いたのは、

清春が出ていって、しばらくしてからだった。











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