「柏木先輩、ありがとうございます!」
「いや、だから俺はいいって言ってねぇよ」
「いいじゃんるいち。ちょっと話すくらい」
あたしがそう言うと、るいちは心底呆れたって感じで、深くため息をついた。
「リン。おまえはもう黙れ。余計なことすんじゃねえよ」
「な、なんでさ! 後輩の頼みの1つも聞いてあげないなんて、るいちって器の小さい男だね!」
ああ、つい、思ってもないことを。
なんでるいちが相手だと、ぽんぽん可愛くない言葉が出てきてしまうんだろう。
るいちがイラついたように、あたしを睨んできた。
これは、本気で怒ってる時の目だ。
「器が小さいだ? ふざけんなよ、人が好意で勉強教えてやってるってのに……」
「だ、だから、別に1人でもできるからいいんだってば!」
「あーそうかよ! もう知るか! 勉強なんて2度と教えてやんねぇからな! 1人でやって赤点ばっかとってろバーカ!」
「はあ? 調子に乗んないでよね! るいちがいなくたって、ちゃんと良い点とれるし! もう2度とるいちに教えてもらったりしないから!」


