なぜだか、急激に顔が熱くなる。
別に、深い意味はないはずなのに。
ただ断るダシにされただけなのに。
なんであたし、ちょっとうれしいとか思ってるわけ?
「……柏木先輩、ですよね。お2人は、付き合ってるんですか?」
小野さんにじとりと睨まれて、ハッとした。
あたし、いまなに考えてた!?
相手はるいちだよ!
ただの性格の悪いイジワルな幼なじみの!
「つ、付き合ってないよ!」
気づいたら、思いきり叫んで否定していた。
いたたたっ。
ちょっとるいち、なに腕つねってんのさっ。
「ですよね! ただの幼なじみだって、みんな言ってたんですけど、ちょっと気になってしまって。すみません」
「いや~あはは! えーと、小野さんだっけ? あたしは別に1人で勉強できるからさ、るいちに話があるんでしょ? 行ってきなよ!」
「はあ? おい、リン。なに勝手に決めてんだよ」
「でたよ、リンの天の邪鬼……」
離れてた芽衣子のセリフがしっかり聞こえた。
別に天の邪鬼じゃないもん。
こんなに必死な小野さんが、ちょっとかわいそうになっただけだもん。


