そんなあたしの気持ちを読んだみたいに、芽衣子がぽつりと言った。
「……持って帰れば?」
「えっ。……でも」
「元々おまえの日記じゃん。自分の物を持って帰るだけだ。問題ないだろ?」
軽くそう言って、芽衣子があたしの肩を叩く。
ちょっと泣きそうになったのが、バレたのかもしれない。
元気づけようとしてくれてるんだよね。
「問題はないかもしれないけど……。なんか泥棒してるみたい」
「ぷっ。自分の物盗むってか」
ケラケラ笑う芽衣子に、あたしもつられて笑っちゃった。
そうだよね。
自分の物だもん。持って帰ったって、バチなんて当たらないよね。
あたしは写真のはさまった日記を、自分のバッグに隠すように入れた。
家に帰ったら、ゆっくり読もう。
もう取り戻せないあの時を、
こっそり思い出すくらい、かまわないよね、神様。


