ひとなでしてからそっと表紙をめくると、はじめのページに写真がはさまっていた。
ああ、そうだった。
あたしこの写真がお気に入りで、ここにはさめて、取り出してはよく見てたっけ。
その写真は、『るいち』と入学式に校門前で撮ったものだった。
新しい制服を、全然着こなせていないあたしたちが、笑顔で写ってる。
この時はまだ、背もあんまり変わらなくて、『るいち』もそこまでモテてなくて。
あたしたちはまるで、兄弟みたいな関係だった。
恋なんてこの時はまだ、意識したこともなくて。
いま思えば、いちばん楽しい時期だったのかもしれないなあ。
悩みなんてなくて。
ただ、『るいち』と毎日笑い合っていられた日々。
もう戻ってこない、あの日々。
思い出すと、愛しくて、恋しくて、苦しくなるような。
そんな幸せに満ちていた。
戻れるものなら……。
あたしはゆっくりと、ページをめくった。


