「ほら。このマニキュア覚えてる?」
「うーん……ああ! あたしがあげたやつか? なっつかしいな!」
取りだしたのは、もう中身がすっかり固まっているピンクのマニキュア。
クリスマスに芽衣子がうちに泊まりに来て、プレゼント交換で、もらったんだよね。
あたしは何をあげたんだっけ。
ああ、そうだ、鏡だ。
化粧命の芽衣子のために、メイク用の可愛い鏡をあげたんだ。
あの時は芽衣子の恋愛遍歴を一晩中聞いて、盛り上がったっけ。
他にも芽衣子と授業中にやりとりした手紙とか、おそろいで買ったヘアピンとか、
たくさん思い出が詰まっていた。
そして、いちばんたくさんの思い出が1つにおさまった物も。
「それ、日記か?」
「……うん」
取り出したのは、水色の日記帳。
中学生になってから、書き始めたもの。
ここには思い出と、『るいち』の悪口がいっぱい詰まってる。


