「あ? ……なんで小野(おの)がここにいんだよ?」
「日下先輩のこと、待ってました」
「なんで。部活ないだろ。マネージャーも休みなんだから、さっさと帰って勉強しろよ」
小野さんてコ、やっぱりサッカー部のマネージャーだったんだ。
ってゆーか、それよりも、びっくりした。
普段からるいちは口が悪くてイジワルだけど、
こんなに冷たい言い方をされたこと、あたしはいままでない。
しかもこんなに可愛い女のコを相手に……。
「部活は関係なく、待ってたんです。昼休みに、2人でお話ししたいことがあるって、言いましたよね」
「だから、断っただろ。テスト準備期間なのに、のんきに話すことなんてねーだろ」
そう、なんだ。
るいち、断ったんだ。
ほっとする自分がいて、戸惑う。
「あたしはあるんです! お願いします!」
めげない小野さんに、るいちはあからさまに、大きなため息をつく。
小野さんの顔が、みるみる泣きそうに歪んでいった。
「ムリ。これからこいつに、勉強教えてやんなきゃなんねーし」
コツンと、軽く頭にるいちの拳が当てられて、驚いた。


