つい、ぽつりと。
心の声をもらしてしまった。
前世の家族のいまを見て、気持ちが緩んじゃったんだ、きっと。
「……えへ。なんちゃって」
悲しそうな顔をする芽衣子に、あたしはごまかすように笑いかけた。
いまさらそんなこと言ったって、もう死んじゃってるんだもん。
それどころか生まれ変わっちゃってるんだから、言葉にするのは、間違ってた。
しんみりした空気に困って、自分の部屋を物色する。
あー、この漫画の本、まだ途中だったんだ。
もう完結してるよね、きっと。
読みたいなあ。
うわ、この写真の服、ダサい!
あたしこんなダサい服着てたのか~。
芽衣子と一緒に写ってるの、たくさん貼られてるなあ。
持って帰ったら、さすがにバレちゃうよね。
キョロキョロと見回しながら、机の前に立つ。
「あ……」
そこには、あった。
これも、変わらず残ってた。
机に飾った、学業成就のお守り。
『るいち』から、もらったもの。


