「うちの娘もね、リンて言うのよ。凛ちゃんと同じ中学2年生で、他界したんだけどね。
娘も勉強も運動も苦手だったけれど、毎日楽しそうだったわ。
あのコが笑顔でいてくれさえいれば、私は充分だったのよ」
だからあなたも毎日楽しんで、ご両親にいっぱい笑顔を見せてあげてね。
そう言われて、あたしは黙ってうなずくことしかできなかった。
お母さんのことは大好きだったけど。
1度死んで、いまになって、お母さんの愛情がどれだけ深いものだったのかって、思い知るよ。
ありがとう、お母さん。
生まれ変わる前に、そう伝えたかったよ。
「ただいまー」
うつむいて涙ぐんでいたら、玄関から男の人の声が響いてきた。
ただいまって、お父さん?
お父さんの声、こんなに若々しかったっけ?
でも、そっか、今日日曜だ。
それにあたしの命日だったみたいだし。
お父さんにも会えるなんて……。
「ただいま、母さん。帰ったよ」
買い物袋を持って入ってきたのは、
記憶よりも髪が少し減って、視力が落ちたのか縁の細い眼鏡なんてかけた、お父さん。


