「凛。おまえ幸せ者?」
「はいはい、幸せですよー」
あたしたちは小声でそんな冗談を言って、こっそり笑い合った。
笑えるくらいに、あたしたちの中でちゃんと受け止められるようになって、よかった。
全部、芽衣子と再会できたからだね。
「琉一くんも、午前中来てくれたのよ。お墓にも毎年行ってくれてるみたい。
お仕事だって忙しいでしょうに、月命日にも必ずお線香立てに来てくれるのよねえ。
友也なんて、月命日すぐ忘れるのにね。ふふふ」
笑っていたけど少し、ほんの少しだけ、お母さんは困ったように言った。
お母さんは日下のおばさんと仲良しだったから、
たぶん『るいち』に恋人がいることも、知ってるんだと思う。
もう忘れてもいいのにね。
そんな気持ちが、お母さんの言葉の端々から読み取れる。
あたしはなんとも言えない気持ちになったけど、芽衣子に肩を叩かれて、大丈夫だってうなずいた。
しょうがないよ。
あたしは、死んでるんだから。
ただ、
忘れてもいい、とはとても思えないけどね。
『るいち』の中にいるあたしまで、死なせたくないよ。


