怒った顔のるいちに、あたしは思わず目をそらしてしまう。
なんでこのタイミングで来ちゃうかなぁ……。
「おまえのクラス行ったら、もう帰ったって聞いてな。
今日も勉強すんだろ? なんで声かけねーんだよ」
「だって、一緒に帰る約束なんて、してないじゃん……」
「約束ぅ? いまさらそんなもんが必要なのかよ。朝だって別に約束してねーけど、一緒に来てんだろ」
「それは、そうだけど……」
「あの! 日下先輩!」
出口にいた下級生の女子が、いつの間にかあたしたちのところまで来ていた。
うわ、かわいー……。
間近で見て、びっくりした。
長い髪はツヤツヤ、小さな顔、ぱっちりした目。ピンク色の唇。
化粧をしてるからか、なんだか年下なのに大人っぽい。
このコ、こんなに可愛かったんだ。
女のコらしくて、お上品な感じで、なんだか賢そう。
化粧っ気がなくて、子どもっぽくて、バカだのアホだの言われてるあたしとは、大違い。


