「こんちは。芽衣子です」
『あら、芽衣子ちゃ~ん。どうぞどうぞ。玄関開いてるわよ~』
こっちは感極まってるっていうのに。
気の抜けるようなお母さんの喋り方に、思わず笑っちゃったよ。
いいや、なんかふっきれた。
今日は楽しもう。
芽衣子の従妹役、小鳥遊凛として。
楽しんで、前世の家族とのひとときを、思い出として持って帰ろう。
それだけで、あたしは幸せだよ。
思い出を胸に、がんばっていける。
「いらっしゃい芽衣子ちゃん。久しぶりねえ」
玄関のドアを開けると、お母さんがリビングからパタパタとスリッパを鳴らして出迎えに来てくれた。
お母さんの笑顔、変わってない。
ううん、少し痩せたね。
白髪とシワも、増えたんじゃない?
でも、見るとほっとできる笑顔に、心が温かくなったよ。
「そーっすね。正月ちょっと顔出して以来だから」
「もっと遊びに来てくれないと寂しいわあ。……あら、そちらが話してた、従妹の子かしら?」
お母さんと目が合って、あたしはなんだかくすぐったい気持ちになりながら、頭を下げた。
「小鳥遊凛です。今日はお邪魔してすみません」


