でも……。
昼休みの、告白現場がまたよみがえる。
「……なんか、顔合わせづらいから、今日はいい」
「はあ? だってどーせ家、同じ方向じゃん」
「い、いいの! 別に、一緒に帰る約束だってしてないし!」
「あ、こら、リン!」
逃げるように階段を降りると、芽衣子がすぐに追いついてきた。
なんかすーんごく不満そうな顔してるし。
「リン~。なに意地張ってんだよ?」
「意地なんて張ってないよっ」
「張ってんだろ? 知ってっか? 女は素直な方が可愛いんだぞ」
芽衣子も女じゃん!
でも……なんか説得力ある。
芽衣子って中2にして、付き合った男が4人もいる。
誰とも付き合ったことのないあたしからしたら、すごい恋愛上級者なんだよね。
「意地なんて、ほんとに張ってないもん……」
「う~ん。まあ、リンの場合は、そういうとこも可愛いんだろうけどなあ。
リン凛も日下もお互いそれじゃ、全然進まねぇじゃん。見てるこっちがイライラしてくんだよ」
首の後ろあたりをかきながら、芽衣子はそんな文句を言う。


