「……って、あたしはあいつのオカンか!」
「はあ? いきなりなに言ってんだよリン」
思わず自分で自分にツッコミを入れたら、横から呆れた声がした。
あれ? 芽衣子?
席の離れてる芽衣子が、なんでいるの?
よく見たら、クラスメイトはみんな立って、帰る準備をし始めてる。
担任の先生もいない。
考えこんでたら、いつの間にか授業が終わっちゃってたんだ。
「はやく帰ろーぜ」
「あ、うん。すぐ準備する!」
午後の授業中、ずっとるいちのことを考えていた。
なーんて言ったら、また芽衣子に色々言われるなあ。
うん、黙っとこ。
教室を出て階段に向かおうとしたら、芽衣子が立ち止まる。
「あれ? どこ行くんだよ」
「え? どこって、下駄箱に……」
「ダンナんとこは?」
「ああ……」
そうだった。
るいちはいま、テスト前だからサッカー部が休みなんだっけ。
だから勉強も教えてもらえてるんだよね。


