恋人がいるって聞いた時も、信じられない気持ちになったけど。
いまは、それ以上。
現実が受け止めきれなくて、頭が真っ白だよ。
「相手がどんな女でも、好きでいられるか?」
「……え?」
不意に、先を歩いていた芽衣子が立ち止まる。
金色の長い髪をなびかせて、ゆっくりと振り返った芽衣子は、
左手の甲を、あたしに掲げて見せた。
その薬指には、銀に光る、シンプルな輪。
カチリと、頭の中で、パズルのピースが埋まったような、音がした。
まさか……
そんな
嘘だ
「あたし……『るいち』と付き合ってんだ」
嘘だ。
そんなの嘘だ。
嘘に、決まってる。


