「どーどー、辻さん」
「いい加減酔って日下に絡むくせ、どうにかしろよ~」
「いいんだ。……辻、いつも言ってるだろ。俺にお前を責める理由はねえよ」
「なんでだよ! あるだろ! テメーがいちばん、あたしを責めたいはずだ!」
また激しく食器のぶつかる音がしたけど、あたしは後ろを向くことができない。
だっていまあたし、涙で顔がぐちゃぐちゃだもん。
こんな顔見られたら、絶対まずい。
「辻! やり過ぎだぞ!」
「辻さん、日下くんを放して!」
きっと、芽衣子が『るいち』につかみかかりでもしたんだろうな。
芽衣子って、昔からそう。
気に入らなければ、教師にだってつかみかかる。
相手の言動が、理不尽だった時だけね。
芽衣子は正義感溢れる、喧嘩っぱやい、不良少女だったもんね。
「あたしが悪いんだ。あたしがリンを……」
「辻……」
「あたしがあの時、あんなこと言わなけりゃ、
リンは死なずにすんだんだ」


