「あーあ。また始まったよ」
「辻さんはほんと、泣き上戸だよねぇ」
「落ちつけよ辻。とりあえず座れ」
「うう~っ」
みんな、慣れた風に芽衣子をなぐさめる。
もしかして、いつもこうなんだろうか。
酔うと、あたしのことを思い出して、泣いてたの?
みんなで集まる時、毎回泣いてたの?
あたしが死んだ時も、泣いてくれた?
今日まで何度、あたしの為に泣いてくれた?
あたしは顔を前に戻して、口を両手で覆った。
芽衣子の泣き顔につられるように、ひどく熱いものが、が体の奥から溢れてくる。
「リンに似た奴なんて、いるわけねぇんだ。リンはもうどこにもいない……」
「そうだな。悪かった」
「悪かったじゃねーよ! なに謝ってんだよ日下! もっとあたしを責めればいいだろ!」
ガチャンと、食器か何かがぶつかる音がした。
途端に後ろの席が、ざわざわしだす。
『るいち』の声は落ち着いていたけど、逆に芽衣子の声は、更に悲しげに、苦しげに大きくなった。
ねえ、芽衣子。
どうして『るいち』が、芽衣子を責めるの?


