小上がり席が、大いに盛り上がる。
言ったよ、言っちゃったよバカ!
あたしのテスト結果を酒の肴にするなー!
「うるせぇ!!」
突然店内に響いた怒声に、あたしは思わず自分の口を手でふさいだ。
び、びっくりした。
怒りが口から出ちゃったかと思ったけど、叫んだのはあたしじゃない。
そっと振り返ると……。
金色の髪の女の人が、ビールジョッキ片手に仁王立ちしていた。
「リンに似た奴だぁ!? ふざけんなよ日下! リンの代わりなんて、どこにもいねぇ! 誰もリンの代わりになんてなれねーんだよ!」
芽衣子は、泣いていた。
顔を真っ赤にして、ボロボロと涙を流していた。
驚いたなんてもんじゃない。
芽衣子は強い女のコだった。
彼氏と別れた時だって、あっけらかんと笑ってた。
女子に陰口を言われたって、涙なんか見せたことなかったのに……。
生まれ変わってようやく、
あたしは初めて、親友の泣き顔を見た。


