「元気がリンの取りえだったからねぇ」
「日下くんと違って、リンは運動も勉強もダメだったもんねー」
「特に数学! ひどかったよね!」
「覚えてる? リンが取った史上最低の点数」
「「「せーの、10点!!」」」
今度は仲が良かった女友だちたちが、ケラケラ笑いだす。
いまあたし、カウンターのテーブルに突っ伏したい気分だよ。
なんでみんなそこまではっきりと、あたしの恥を覚えてるかな!
『数学10点』の記憶なんてあたし自身、『るいち』に言われるまですっかり忘れてたのに!
自身ていうか、生まれ変わりで前世の記憶だけど!
「そのリンに似てるって生徒、あいつの最低記録を塗り替えたんだよ」
ちょ、ちょ、ちょっと!
あんた何言おうとしてるのさ『るいち』!
こんなところで、関係ない生徒の点数暴露するつもり!?
「うっそ、数学で?」
「10点を塗り替えたって、まさかひと桁?」
「そう。まさかの7点」
「すげえ!」


