なんてことを考えながら、注文したからあげに箸を伸ばそうとした時。
「リンに会いたいなー」
そんな声が聞こえて。
それから次々に、みんながあたしのことを話し始めた。
「柏木が応援に来た時の試合は、盛り上がったよなあ」
「誰より目立つ応援だったしな!」
「日下もいつもより気合い入ってたよな~」
「そうだったか?」
「無自覚かよ。でも俺らまでなんでかやる気出たよな」
「確かに! 他の女子圧倒してたし!」
サッカー部員の男子たちが、ゲラゲラ笑う。
あたしは箸を持ったまま、固まった。
あたし、そんな風に見られてたんだ。
うわあ、顔が熱いっ。
そのあとも皆して、あたしの恥ずかしい過去を次々上げていくから、もう穴があったら入りたい気分になった。
なんで皆、あたし自身が忘れてるようなこと、覚えてるかなあ。


