それから1時間くらい、後ろの同窓会での会話を盗み聞きしていて、メンバーに誰がいるのかわかった。
男の人はほとんど、『るいち』と同じサッカー部員。
女の人は、あたしや『るいち』と小学校も一緒だった友だちたちだった。
すごくすごく、懐かしい気持ちになった。
あたしも一緒に、同窓会に参加してる気分。
「そういえば。新しく赴任した中学で、あいつによく似た奴に会ったよ」
会話が途切れた時、日下先生が優しい声でそう言った。
どきりとした。
それって、たぶん、あたしのことだよね。
「あいつって……」
「リンだよ。顔は全然違うけど、中身というか、色々なところがあいつを思い出させる女子生徒がいてな」
賑やかだった真後ろの小上がりが、しんと静まり返った。
そりゃそうだよ、何考えてんの『るいち』。
楽しい席で、死んだ女の話をするなんて。
場を盛り下げる以外なんになるっていうの。
そんなのバカなあたしでもわかるよ。
あたしのせいじゃないけど、盛り下げてる話題が前世の自分のことだから、ちょっと居たたまれないなあ。


