駅から歩いて5分くらい経って。
先生が1軒のビルに入っていった。
まずくない!?
エレベーターとか乗られちゃったら、見失うかも!
「あっ! ごめんなさいっ」
焦って走ったら何人かにぶつかってしまった。
転びそうになるのをなんとかこらえて、日下先生を追いかける。
1階のお店に入っていく先生の姿が、ギリギリ確認できた。
ああ、よかった。
「よし。行くぞ、凛っ」
ぐっと両手で拳をつくって、背筋をピンと伸ばしながら、あたしもそのお店の扉を開いた。
途端に溢れる、賑やかな声。
お客さんたちのたくさんのざわめきに、店員さんたちの明るい声。
思わず、回れ右をしそうになったけど耐えた。
ひるむな! 大丈夫!
ここはファミレス!
超混んでて客は大人ばっかりの、ファミレスだと思うんだ!
多少ムリがあっても思いこむんだ!


