ぼんやりしていたら、電車が駅に止まった瞬間、先生が動いた。
あたしも慌ててホームへ降りる。
うー、ヒール高くて歩きにくい!
転ばないよう気をつけながら階段を降りて、駅を出る。
先生の数メートル後ろを歩いていたら、なぜか通り過ぎる人にじろじろ見られた。
な、なんで見られるんだろう。
歩き方が変だから、だよね?
化粧が変とかじゃないよね?
繁華街に入っていく先生の背中を見ながら、なんだか不安になってきた。
居酒屋に入れないんじゃないかって。
子どもだって、バレちゃうんじゃないかって。
1人じゃ不安だよ。
隣りに清春がいてくれたらな……。
「って、なに甘えたこと考えてんのっ」
パンと両手で、自分の頬を叩いた。
大丈夫!
バレてもいい。
そしたら店の外で待ってればいいんだから。
不安がって怯えるのはやめよう。
あたしはバカなんだから、考えたところでしょうがない。
バカはバカらしく、後先考えず行動あるのみ!


