そう。
あたしは日下先生の、中学の同窓会をのぞき見るために、学校に戻ってきた。
お母さんが買い物で家にいなかったから、ラッキーだったな。
友だちと遊ぶって、書置きもしてきたし、問題なし!
でもあんまり遅くなるとまずいんだけどな。
日下先生、いつまで仕事してるのかな……。
「ん? ……きた!」
さっと身をかがめて、校門から出てきた日下先生をうかがう。
駅の方に向かうみたい。
いつも先生は車通勤だけど、今日は徒歩で来てるって、ちゃんと下調べはしておいた。
お酒飲むんだろうし、大丈夫だろうとは思ってたけど、万が一車だったら、尾行なんてできないもんね。
バレないように少し距離を置いて、追いかける。
駅が仕事帰りの人たちで混んでいて、先生を見失いそうになったけど。
なんとか同じ電車に乗ることができた。
隣りの車両から、じっと先生をロックオン。
学校の外で見る日下先生も、やっぱりかっこいいと思った。
あの『るいち』がって思うと、ちょっと悔しいっていう、複雑な気持ち。
大人になっていく途中の『るいち』を、そばで見ていたかったな……。


