「え、るいち?」
「さっさと行くぞ。俺が殴られる」
「じゃあね、リンちゃん。気をつけてね」
「あ、うん。お邪魔しました! あとごちそーさまでした!」
笑顔のおばさんに手を振って、るいちに引きずられるように、あたしは外に出た。
すっかり外は暗くて、半袖の制服じゃ、ちょっと肌寒くなっていた。
「はあ。お腹いっぱい」
るいちの家で晩御飯をごちそうになったあたしのお腹は、スカートがきついくらいぱんぱん。
るいちの家のご飯、うちより豪華だからつい食べ過ぎちゃうんだよねぇ。
「昨日もごちそうになったし。明日はうちで勉強する?」
「友也(ともや)がいるから集中できないんじゃなかったか?」
「うーん。そうなんだよねぇ。友也ってなぜかるいちのこと大好きだからなぁ」
友也は、あたしの4つ下の弟。
昔から姉のあたしよりもるいちに懐いている、ちょっと生意気な小学生だ。
なーんでこんな、イジワルるいちなんかが好きなんだか。


