「テスト勉強、2人でやってたんじゃなかったっけ? 数学やってなかったの?」
深田くんが不思議そうに聞いてきたけど、あたしは何も言えない。
代わりに清春が、薄笑いを浮かべた。
「凛はちょっと勉強したくらいじゃ、平均点なんて取れないんだよ」
「ちょっとじゃないもん。ちゃんとやったもん」
「はいはい。もう苦手意識が染み付いちゃってるから、相当やらないと頭に入ってこないんだよな」
だって苦手なものは苦手だもん!
でも苦手だからって、手を抜いてるわけじゃない。
わけじゃないんだけど……。
「日下先生にも呼び出されたんだろ? 怒られるのかな? がんばれ、小鳥遊さん!」
深田くんに爽やか笑顔でそう応援されて、あたしは曖昧に笑ってうなずいておいた。
そうなんだよ。
問題はそれなんだよ。
お母さんに怒られるのは慣れっこだから、いい。
いや、良くはないんだけどさ。
それより日下先生。
この答案返す時、すごい笑顔だったけど……目が全然笑ってなかった!
あれはめちゃくちゃ怒ってるとみた!