「ずっと怒ってるのって、疲れるな。俺、怒るの苦手」




そう言って、清春は微かに笑った。


確かに、清春ってあんまり、怒るってことがない。

いつもぼやーっとしてて、感情の起伏があんまりなくて。



だから、怒った清春が怖かった。




たった1日ケンカしてただけだけど、清春の笑顔、久しぶりに見た気がするな。



安心する。


清春が笑顔だと。




「もう、怒ってないから。これはただの質問」


「うん」


「凛は、何を俺に隠してるの?」


「それ、は……」




そうだよね。


気になるに、決まってるよね。



あたしだって、清春がなにか隠しごとしてるって思ったら、気になって問い詰めてる。


あたしたちはいままで、秘密も隠しごともなんにもなく、ありのままで、過ごしてきたから。



でも……。




「……話せない?」


「ごめん……。清春を信用してないとか、そういうんじゃなくて。
ただ、自分でもちょっと、整理できてないんだ」


「うん」


「整理できたら、ちゃんと話すから。その時は、聞いてくれる……?」