放課後には、あたしの気持ちも落ち着いていた。


表面だけね。

その下は、大きくうねって、渦を巻いて、荒れていたけど。



それを押し隠して、あたしは清春の前に立った。




下駄箱の前。


スニーカーに履きかえた清春の制服の袖を、きゅっと掴んで。



昼に泣いて赤くなってる目で、幼なじみの整った顔を、じっと見つめた。


清春も、無表情であたしを見つめ返してきて……。




数十秒後、先に動いたのは、清春だった。



今まで呼吸を止めてたのか、大きく息を吐き出して。


ちょっと恨めしそうに、あたしを見てきた。




その顔が、ほんのり赤く見えたのは、気のせいかな。




「……ずるいよ、凛は」


「ずるい?」


「はあ。もういい。怒ってるのも、バカらしくなってきた。俺も態度悪くてごめん」


「清春……」