こみあげてくる涙を、必死に押しとどめていたら、
日下先生が小さく息を吐いた。
「たぶん、忘れたくなかったんだろうな……」
小さな小さな、
風にかき消えそうなほど、小さな呟きだった。
でも、あたしの耳は拾ってしまった。
あなたの中に、確かにあたしがいる。
『るいち』の中にしっかりと、『柏木リン』が残ってる。
好き。
やっぱり好き。
あなたが好き。
ねえ、『るいち』。
ここにいるよ。
あたしは、ここにいるんだよ。
いま、隣りにいるんだよ。
『るいち』の、隣りに……
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