「……あ。もしかして、向いてないって言いたいんでしょ! 勉強できないくせにとか思ったんでしょ!」
ふーんだ、そんなの言われ慣れてるもん。
清春にも親にも友だちにも、散々言われてきたもん。
いまさら傷ついたりしないんだから。
腹は立つけどね!
「……いや」
しばらく固まってた先生は、
不意に小さく笑って、首を振った。
「向いてると思う」
「え……」
「小鳥遊なら、きっと良い教師になるよ。がんばれ」
それはバカにしてるわけでも、からかう風でもなくて。
本当に、心からそう思ってるみたいな言い方だった。
いまのあたしは、小鳥遊凛で、『柏木リン』じゃない。
赤の他人だ。
出逢ったばかりで、あたしのことなんて、なんにも知らないはずなのに。
あたしの夢を聞いて、笑ったりしない人は初めてで。
応援されたことが、すごくすごく、嬉しかった。


