「うん。昨日の放課後からずっとこう」
「あー。……もしかして、ケンカした?」
「……わかんない」
してない、って言いたいけど。
実際は別に言いあいにもなってない。
でも、いまのあたしたちの間にある気まずさは、ケンカに似たものがある。
なんでこうなったのか、あたしにはわかんない。
「え。凛、清春くんとケンカしてるのぉ?」
「珍しいね~」
ユキちゃんとアリサにそう言われて、ちょっとむっとして、唇を尖らせる。
これはたぶん、ケンカじゃないもん。
清春が勝手に怒ってるだけだもん。
「そんなんじゃない。だってあたし、別に悪いことしてないしっ」
「またそんな意地張って~」
「凛は意地っ張りの天の邪鬼だもんねぇ。さっさと謝っちゃいなよ」
「だからあ、謝るようなこと、してないってば!」
本当に?
清春に隠しごとをしてるのは?
でもそれは、悪気があってじゃなくて。
ただきっと、話したって信じてもらえないだろうし、言う必要がないからで……。


