「ねぇ、いつか。アンタさぁ、好きな人とかいないの?」



サークルの後、時間の空いた私と陽子は近くのファミレスに来ていた。
そこで料理を注文し食べ終えた後に、彼女からそんな意外な言葉が出てきた。



「・・・へ?」



私は驚いて聞きなおす。



「だーかーらー、好きな人。いないの?」
「ええっ、い、いや・・・・・ほ、ほら、私ようやく大学慣れてきたところだし・・」
「えー、でもさ、気になる人くらい居るんじゃない?」


陽子のいたずらっぽい笑みを受け流そうと必死になるが、
必死になればなるほど墓穴を掘っていくようで。・・やっぱり陽子には敵わないなぁ。



「・・・驚かない?」
「驚かない、驚かない」



彼女が諭すような口調で、ドリンクバーのジュースと氷が入ったグラスの中身をカラカラさせながら私に言う。




「・・・えっとね、・・・・・ささ、くん・・」
「・・・・、・・・は・・?」



陽子は、ふと手を止めて、目を見開いて私を見つめる。



「や、やっぱり驚いてるじゃない!」
「い、いや・・!!だ、だって・・・・佐崎ぃ?」


嘘でしょ、と言いたげに陽子は口をぱくぱくさせながら私を見る。




「はぁ~~~・・そっか・・・」




何故かちょっと落ち込んでる陽子。
私は今まで恋をあんまりしたことがないので、きっと心配してくれてるんだろう。


「あ、で、でも、まだ気になるってくらいで・・」
「うん、分かってる。ちゃんと考えてみな?・・アイツすっごいチャラいんだから」
「そんなことないよ、たぶん・・!」






ささくんは、事故の後によくしてくれた。

大学のことやサークルのことを、陽子と一緒に説明してくれた優しい人。
だから、私は二人に少しずつ恩返しが出来たらいいな、と考えていたりする。