教室に入ると、神崎が珍しく困ったような顔をしていた。 いつもニヤニヤしてるこいつが…。 「どうした?神崎」 「おお。おはよー久野。実はさ、家で軽く問題起きちゃってさ…」 「そういえばお前、もうそろそろ跡継ぎだっけ」 「まあね。仕事に生きた気難しい親父だから、大変だよ」 実は――― 神崎の家は、ある大手企業のトップに立つ、高貴な家柄。