心地よい風が吹く、春の日。 こんなときは誰だって、のどかな気分になるもの。 でも、この空間だけは、違った。 後ろからわたしを抱きしめる人が、一人。 前からわたしたち——というか、わたしに抱きついている人物を睨む人が、一人。 そして、その後ろからこの危険な事態を見つめる野次馬が、たくさん。 どうしてこんなことになったかというと…時は少し前に戻る。 ちなみに今日は、卒業式。