班長side
バタン、と空しく音を立てて扉が閉まった。
「まったくあいつは…」
わたしはハァーと大きく溜め息をついた
きっと、わたしの言葉も聞いてなかっただろう
「……不器用なんだよ、お前は…」
扉の向こうへ消えてしまった正樹の姿を思い浮かべる
なんだかんだ言って、恋のキューピッドをやっている天使の中で
一番人間のことを考えているのは正樹だ。
あいつはいつも、他人の事ばかり考えて
自分のことは後回しで…
「それは今も、…昔も同じ、か……」
わたしは目を閉じて
煙草の煙をぷかり、と吐き
『正樹、頑張れよ』
正樹には届かなかった言葉を、
心の中でもう一度呟いた。

