きゅーぴっど②


班長side




バタン、と空しく音を立てて扉が閉まった。


「まったくあいつは…」


わたしはハァーと大きく溜め息をついた

きっと、わたしの言葉も聞いてなかっただろう


「……不器用なんだよ、お前は…」


扉の向こうへ消えてしまった正樹の姿を思い浮かべる

なんだかんだ言って、恋のキューピッドをやっている天使の中で
一番人間のことを考えているのは正樹だ。


あいつはいつも、他人の事ばかり考えて
自分のことは後回しで…




「それは今も、…昔も同じ、か……」


わたしは目を閉じて
煙草の煙をぷかり、と吐き







『正樹、頑張れよ』


正樹には届かなかった言葉を、
心の中でもう一度呟いた。