「うぁあ~~っ、やっぱちょっと冷たいね。」


そりゃまだ海の季節じゃないもんね。

それよりも、ずっと思ってたんだけど、優璃スカート短い。


「脚濡らしちゃってどうやって靴下履くんだよー。」


砂浜に裸足で立ってる俺が言えた義理じゃないけども。


…、それよりも、だ。

俺、今日、告白、する、ん、だよな。

優璃といたらそんなことすっかり忘れちゃってた。

昨日の夜なんか、なんて言おうかなんて考えてたら寝れなくなってたのに。


「ゆうくんも海入ったら?」


ニコニコしながら優璃は俺に手をさしのべた。


彼女の細い指に、俺の指が少し触れる。

それだけで、指の先が熱を持つような感覚。


ああ、やばい。

また緊張してきた。


「ん、」


そんな恥ずかしさを隠すために短い返事を返す。

ぎゅっと優璃の手に指を絡めると、

暖かくて、それだけでまた優璃の事を好きになる。

そして、どうしようもなく優璃のことが好きなんだと気づかされる。


「ゆうくん、手冷たいね。」


俺の手を握り返して、優璃は言う。


「手が冷たい人って心が温かいんだよ。」


こんな憎まれ口しか叩けないけど、

優璃はちゃんとそんな俺をわかっている。


「甘いわね、ゆうくん。

私は心の温かさが手にまでもにじみ出てるのよ。」