ざわざわとした店内。

薄暗い照明の下、暗く澱む空間に柄の悪い連中が屯する。


そんな連中の殺気立った目線を受けながら奥のソファー席に近づいた。


「…よぉ、殺されに来たか?」

「ハルと別れる気になったか?」


金に近い茶髪の男が二人、ソファーに深く座り此方を睨みつける。


『DIVA』から少し離れた繁華街の端にあるCLUB『JOKER』。
この辺りを仕切る『鬼眼羅(キメラ)』の溜まり場だ。


『柊兄達も、『KING』っていうチームでダンスしてるんだよ。』

春奈から兄貴達の事を聞いたが…。
まさか兄貴達のチームがこんなんだとは思ってないだろうな…。


「何がダンスチームだ…。」

鼻を鳴らして奥に座る『KING』を睨み付けた。
『KING』は『鬼眼羅』の頭の通り名だ。
表に出る事のない『鬼眼羅』の幹部がこいつらだったとはな…。